金糸物語

 
 工房を訪ねて

 『源氏物語 宇治十帖』の舞台になった京都、宇治川の程近く。
 
私たちが京都の伝統工芸品『本金糸』の制作工房を訪れたのは新緑がみずみずしい五月の朝まだ早い時間のこと。 金糸を作り続けて120年、明治30年創業の老舗の糸問屋の若社長が出迎えてくれました。「本金糸は、複雑な工程を熟練の職人の手によってリレーしてつくられるんですよ」と、お話してくださいました。
 

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つややかな輝きと軽さが魅力の『本金糸』その秘密は日本独特の素材と製法にあります。和紙、漆、金箔、そして熟練の技。これらが全てそろってようやっと紡ぎ出される希少な糸。今回私たちは、その製造工程の奥深いところまで取材させていただくことができました。

 

 和紙と漆

漆の調合と塗り作業

 最初に案内していただいたのは、和紙に地漆を塗る工程。金糸の素材に和紙が使われていたとは正直言って驚きでした。ご夫婦で営む工房からは、時を刻むかのように一定のリズムの機械音が心地よく響いてきます。ご主人が真剣な眼差しで機械から繰り出される和紙に漆をひいていきます。漆の状態は気温や湿度により日々変化するので、職人さんは状況に合わせて幾種類もの漆を調合し、むらなく美しく和紙に塗り上げていくのです。


漆の眠り

 和紙の長さはなんと125メートル!漆をまとった和紙は、工房の床下の室(むろ)に収められ、約1か月の静かな眠りにつきます。こうしてざらついた質感の和紙がつややかに表情を変えていき、同時に強度も増していきます。このようにして次の箔押しの準備が整うのです。「漆は湿度の高いところで乾いていくんですよ。不思議でしょう?」職人さんは語ります。なるほど、名だたる日本の漆器の産地は確かに湿度の高い地域が多いですね。そう考えると、宇治川の川霧の立ち込めるこの地域は漆加工にうってつけの場所なのかもしれません。
 

 箔押し


金箔貼
 
 次に見学したのは箔押しの工房。この道50年のベテラン職人さんが、見事な手さばきで金箔を和紙に貼り付けていきます。使用するのは純度97.7%、一万分の3ミリまで打ち延ばされた金沢箔。ほんのわずかな風に吹かれても、くしゃくしゃっとなってしまう薄さです。呼吸さえもためらわれる緊張感のなか、寸分の狂いもなく5800枚もの金箔を貼り付けていきます。「こんなに薄い金箔ですからね。時には小さな穴が開いたり、しわが寄ってしまったりすることもあります。大事なのは修正力。この技術を得るには、経験が必要なんですよ」と、貴重なお話を聞くことができました。丁寧に根気強く箔を貼り続けて、まばゆく輝く黄金のシートがついに完成!圧巻の美しさです。
 しかし大変残念なことに、この技術を継承している職人さんは全国でもわずか数名しかいないのだそうです。


 撚糸(ねんし)


金糸の撚糸

 場所を京都 紫野・西陣へと移して撚糸の工場見学へ。機械を使って黄金の和紙のシートを数ミリ幅に裁断し、レーヨンの芯糸にらせん状に巻き付けていきます。ダイナミックだけれど、わずかな狂いも許されない緻密な作業の連続。厳しい管理のもと、美しい1本の金の糸が紡がれていきます。

 仕立て


金糸の仕立て
 
 最後は人の手によって大切に大切に誂えられて糸の完成。伝統の織物や刺繍などを担う各地の職人さんへと届けられ、あでやかな作品へと姿を変えていくのです。
 
 繊細な一本の糸。まばゆい輝きのなかに自然との調和、人との絆、職人の誇り、受け継がれた技、幾多の物語が紡がれています・・・。
 和の彩 wanoiro は、日本の伝統の技を取り入れ、文化を凝縮させたアクセサリーです。貴重な金糸をパリで長年活躍してきたデザイナーのHIROKO氏がアレンジし、モダンなデザインと和のマリアージュをお楽しみいただけます。ぜひお手に取ってその高貴な美しさに包まれてください。

美しい国の素晴らしい宝、伝統の 京都 金糸・銀糸を今に伝える

和の彩 wanoiro 金銀糸アクセサリー
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